僕まめたろうは、ホルモン歴10年以上、胸オペ済のFTMですが性別適合手術はしていません。そのため現時点では、「見た目はオジサン、戸籍は女性」といった状態。
こういうちぐはぐな状態だとついて回るのが「カミングアウト」です。
これまでの人生で大きいものから小さいものまでカミングアウトを何度かする機会がありました。今回は僕がしてきたカミングアウトを、どんな時、どんな感じでしているのかを実際のパターンをお話したいと思います。
1.ホルモン補充を開始した段階でのカミングアウト
2.就職・転職をする段階でのカミングアウト
3.医療機関にかかる段階でのカミングアウト
4.パートナーに対して告白時のカミングアウト
5.賃貸契約時した時にも念の為小さいカミングアウトしている
文字数がかなり多くなってしまうので、この記事では1についてお話します。
2〜5は後日お伝えできるよう、ゆるく更新していきたいと思っているので少々お待ち下さい(汗)
ホルモン補充を開始した段階でのカミングアウト
僕が男性ホルモン(ネビド)治療を開始したのは、理学療法士養成校に在籍しているころでした。
この時のカミングアウトが僕の人生の中では今のところ最大のものですね。
養成校最終学年である4年生、臨床実習が全て終わった時点でこれから理学療法士の就職活動や国家試験に向けていく時期でした。
どうやってカミングアウトをしたかと言うと
教壇の前に立ちクラス全員(約40名)に向けて一括大発表すると言うオオゴトをカマしてやりました!
話した内容はざっくりこんな感じ
- 実はトランスジェンダーです
- 男性ホルモン補充を始めたので、これから見た目とか変わってくると思います
- 見た目が変わっても中身はこれまでのまめたろうのままだから、これまで通り普通にして
もらえるとありがたい
最終的にはクラス中から笑いと盛大な拍手をもらって終わるという、よくわからない終わり方になりましたが…(汗)クラスメイトたちの人間ができていたんでしょうね〜
心臓バクバクではありましたが、後にも先にもこの人数規模に大発表する機会はないだろうとも思っていたので若干自分でも「まじ面白いんですけど〜」と心のすみっこで思っていたところはあったかなと。
もしカミングアウトをしたことで関係性が大きく変わってしまったとしても、どのように反応するかは僕から投げたボールを受け取ったその人自身の自由なのでしょうがないかなとも割り切っていました。とりあえずボールを叩き捨てられるようなことはありませんでしたね。
この一括カミングアウトはいきなりしたわけではなく、するべき時期を自分で前々から考え+事前根回しを用意周到に数年前からしていました。そこで根回し界隈もどうやったのかお話しておこうと思います。
一括カミングアウト前にしていた根回しって?
根回しをするずっと以前、それこそ小学生くらいの頃から
自分は30歳以上になってから、身体が変化する治療はするようにしよう
と思ってました。
なんでかと言うと、僕は自分がアホであることを十分自覚していたから。
勢いで治療を進めるんじゃなくて、時間をかけて、自分でしっかり納得して、治療後の人生も思い描けるようになったくらいで後戻りできない治療に進むのがいいだろうと思っていたからです。
勢いのまま治療に突き進むと苦しくなったときに誰かのせいにしてしまいそうじゃないですか?
そんなアホくさいことをしたくないから、身体的治療をするなら覚悟を持って進みたかったんですよね。
社会人経験を数年してから理学療法士養成校に通学し始めたので、在学中に30代になるのは入学時点でわかっていました。まだこの時点でははっきりとホルモン開始時期を決めていません。
医療職養成校で校外実習があることもあり、もし身体的変化が起きる治療に移るなら就職後か、実習が全て終わって就職活動する時期のどちらかだろうなと考えていました。
そこで、入学と同時期くらいから性別違和症候群(少し前でいう性同一性障害)界隈では有名なジェンダークリニックに通院を始め、診断書を得るためのカウンセリングを開始しました。
カウンセリングはあえてゆっくりめに進めて行き、診断書が手元に来たのは通院開始して2年目でしたね。
そしてここから一括カミングアウトに向けて根回しを開始し始めます。
医療職養成校では座学での授業だけでなく、実技練習をする授業の機会がよくあります。
特にまめたろうは理学療法士という他人の体触ってナンボな資格を目指したため、実習着(スクラブ)や動きやすい格好に着替えて実技をする必要がありました。
恐怖の女子更衣室の刑がどうしてもあるのです…
無理無理、絶対無理!!
そこで手元にきた診断書を盾にして学校(教員陣)に相談したんです。こんな感じで。
在学中にこういった相談をした生徒が開校以来初だったらしく、後から担任に聞いた話では校長・理事長まで話が上がって検討されたそうです(汗)
変な前例を作ってしまったところで許可がおり、女子更衣室の刑から免れることができたのでまぁ成功でしょう!
診断書をもらう頃には実習が終わったらホルモン補充を始めようと心が決まっていました。
そのためにはここで「女子更衣室」を普通に使用していると、一括カミングアウト後に女子たちからの反応が辛くなるかもしれないと考えたので、この着替えが必要になる授業が始まるタイミングでカマしたわけですね!
この時点の相談で、先に教員全員に周知すると言う根回しを達成することができました!
正直いうと、この相談自体が計算した上での行動だったんですよね。
一括カミングアウトをする前に、早めに外堀を埋めておいたほうが混乱が少ないと考えたからです。
まめたろう意外と計算高いらしい…!
教員陣へのカミングアウトとクラスでの一括カミングアウトには1年以上の期間がありました。
その期間を利用して担任と何度も話をし、
臨床実習終了後から身体的治療に入ろうと思っているから、混乱が起きないようにこれくらいの時期にクラスに一括カミングアウトをしたいんです
僕の希望と時期、学校側のフォロー体制を整えていった感じですね。
医療系養成校だったから比較的スムーズに話がすすんだところもあったかもですが、10年以上前に当たる当時は、2024年現在以上にトランスジェンダー理解が社会全体で低かった時期でしたから…
これくらいスムーズに話がすすんだことは運が良かったのかもしれないです。これからカミングアウトをする人にとって、1つのロードマップになれるなら幸いです。
クラス全体など大人数に向かって一括カミングアウトする予定がある方は、まめたろうレベルで用意周到に事をすすめてもいいかもしれません。
一括カミングアウトは心臓が鼻から吹き出しそうなくらい緊張しますけど、それでもよければ…
ただ一気に関わりがある全員にカミングアウトできるので、「あの人には言ったんだっけな」「この人は知ってるのかな」と悩む必要がないのは楽だったかなと思ってます。
今回の記事は以上です。ありがとうございました!