訪問領域で理学療法士として長年働いていると、訪問時に利用者さまが急変しているところに出くわす機会が出てきます。
そういうときにどうしたらいいか分からないとパニック状態になってしまいますよね。
訪問領域をこれから目指したいという方はこんなこともありえるかもと、心に留め置いてもらえると嬉しいです。
下の3つのエピソードは僕の緊急体験談です
現在、訪問領域で働いている方はお勤め先に緊急時対応マニュアルがあると思うので、1度確認しておくことをオススメします!
事業所ごとによって対応方針が違う可能性もあるので(汗)
対応方法の違いとしては大きく3パターンに分かれてきます。
- 運動療法中に問題のある症状が出現した場合
- 鍵が開かず入室できないが中から助けを呼ぶ声がしている
- 訪問すると亡くなっていた
運動療法中に問題のある症状が出現した場合
訪問に行く前の情報収集から、緊急時対応は始まるよ!
訪問看護/訪問リハで理学療法を行う場合は、医師から指示書の発行/指示内容の確認が介入開始のために必須です。
テンプレのようなザックリとしている指示だけの医師もいれば、バイタル数値や”こういう症状があったら中止/ドクターコールするようになど、詳細な指示をする医師もいます。
自分が主担当の方に訪問するなら医師の指示内容は頭に入っているので大丈夫だと思いますが、他のスタッフの代わりに訪問するなど訪問しなれていないご利用者さまのところへ伺う前は必ず情報をとっておきましょう。
携帯端末でその場でも見ることができると思いますが、一度目を通しておいたほうが安心です。
緊急時は見ていても頭で理解が追いつかないことがありますよ!
緊急時は見ていても頭で理解が追いつかないことがありますよ!
とりあえず確認しておきたいのは
- (訪看)訪問看護指示書/(訪リハ)医師の指示内容
- ケアプラン表
- 直近1ヶ月くらいの過去カルテ
具体的なバイタル数値指示が出ていない方が、運動処方中に症状出現した場合に指針として使えるのは
かの有名な「土居・アンダーソンの運動中止基準」!
この指標で一旦休止なのか、その日の運動療法を中止するのかなど目安にすることができます。
もし①、②の症状が起きて運動処方を中止した場合は、ステーションに連絡して管理者の指示を仰ぐとより安全だと思います。
なにか異変があったときは隠したり、
ごまかしたり、伝えないのはご法度だよ!
ヒヤリ・ハットなどのインシデントレポートは定期的にステーションに新着があがる方が自然です。いろんな方のお宅にたくさんのスタッフが日々訪問しているんですから。
スタッフ間の情報共有はスムーズに行えるようにしておきましょうね。これが一番重要です!
鍵が開かず入室できないが中から助けを呼ぶ声がしている
ご自身で鍵を開けるのが困難な方は多くの場合「キーボックス」という道具を活用されています。
ですが、普段は同居のご家族が鍵を開けている、玄関鍵をご自身で開けられる方はキーボックスが用意されていません。
そんなときにたまーに起きるのが、
玄関に鍵がかかっていて入れないが助けを呼ぶ声がしている…
もちろん最初はインターホンを押してみます。それで同居のご家族が出てくれるなら問題なし。
かなりイレギュラーなので対応策が多岐に渡ってしまうのですが、これまでに行ったもののうち2つをご紹介します。
①はきだし窓が空いていないか確認する
⇢もし空いているならそこから入室して助けに行く
②携帯電話に電話をかける⇢場合によっては救急要請することも
中から助けを呼ばれている場合、転倒している、急変して身動きが取れない、不安な気持ちが強くなってなんとなく呼んでしまっているなど様々です。
だけども、玄関の外から音を聞いているだけだとどの状態なのかがわからない…
①の場合は、空気の入れ替えなどではきだし窓が空いている事があることがあります。
どうしても玄関の鍵が開かない、でも助けを呼んでいて入る必要性がある場合は窓から入室させていただくことがありました。
入室して緊急性がある場合は、
この後お話する救急要請と同じような手順をとります
②の場合は、直前にご利用者さまから「なんだか調子が悪い、動けないかも」と電話連絡がはいりました。
キーボックスのない独居の方だったため、玄関ドアまで行き鍵が開けられないか呼びかけてみましたが反応がない…
電話連絡が携帯電話からの入電だった事を思い出し、こちらに電話をかけてみました。
電話に出てはくれたけれど、
いつもより呂律が回っていないような感じがするな…
事務所管理者と訪問診療医師に確認をとって救急搬送依頼することになりました。
救急依頼をするときに119に伝えることはこちらです。
- 事故か救急か
- どういう状況か
- (この時点で確認ができるなら)バイタル
- 現場の住所
- 通報しているのは誰なのか などです。
119に通報したらオペレーターの方が必要事項を順をおって話して誘導してくれるので、慌てないでよく話を聞くようにすればなんとかなりますよ。
僕が対応した方は救急隊が来てくれなんとか入室できるようになったのですが、やはり緊急性を要する状態だったため救急搬送となりました。
救急隊が来てくれて入れそうな場所を色々探しても鍵がかかっていて入れない場合は、ドアや窓を破ることもあります。
人命はなににも変えられませんから!
訪問すると亡くなっていた
ターミナルの方など、主治医からご家族に余命はどれくらいかお話があったかたにもリハビリ介入することはよくあります。
ターミナルの方はいつ何時があるのかわかりません。
リハ訪問したらお亡くなりになっていたことを僕は数回経験しています。
訪問看護であればまずは管理者に連絡を入れる。
訪問リハであれば所属看護師経由で医師に指示を仰ぐ。
これが大事です
ターミナルの方の場合、事前にご家族と緊急時どういう対応をするのか話を聞いて決めていることが多いです。
- 救命行動をしてほしいか⇢救命希望の場合は最終的に救急搬送になる
- ファーストドクターコールはどこか⇢大抵は訪問診療が介入しているのでそちらになる
ターミナルの方にリハ介入することが決まったら、最後を迎えるときにどういう環境がご希望なのかきちんと把握しておきましょう。
安楽に最後を家で過ごしたいと言うのがご本人、ご家族の希望というお宅で、間違って延命処置や救急依頼をしてしまうと希望に即わない最後をむかえさせてしまうことになります。
死亡確認は医師にしかできないので、訪問診療の医師に来てもらう必要があります。
ステーションから連絡をするか、その場にいるセラピストが連絡をするのかは事業所によって方針が違うと思うので「もしもの時」にはどうするのかをあらかじめ担当看護師や管理者とすり合わせをしておきましょう。
今回は、訪問領域で働くなら知っておきたい 緊急時対応 についてお話しました。
これから訪問領域で働いてみようかな?と考えている方、
どうだったでしょうか?
もしかしたら怖いなと思ってしまった方もいるかもしれません…
ですが、こういうイレギュラーや人生に触れることこそが訪問・在宅の領域で勤務する醍醐味でもあると僕は思っています。
大変そうかも、でもやってみたいんだよなと思ってくれた方が少しでも増えてくれたら嬉しいです。
在宅のリハとして働いてくれる仲間が増えるのは心強いですから!
今回の記事は以上です。ありがとうございました!