まめたろうは「認定理学療法士」「3学会合同 呼吸療法認定士」などいくつかの資格を保有しています。これらの資格を取得し、保有し続けるには時間とお金がどうしても必要…
そこで今回の記事では時間とお金の面、「この資格を取得することはオトク?」に焦点を当ててお話してみたいと思います。
情報量が多くなりやすいので今回は「認定理学療法士編」
理学療法士だって生活を保つためには使えるお金には限度がありますからね。それに平均月収も、昇給率も、低い職種(だと僕は感じてる)なので資格を保有することで月収がどれだけ増えそうかも気になるところじゃないでしょうか?
もちろん医療従事者として研鑽し続けるのは当然だろうとの想いもありますが、ない袖は振れないというのも事実じゃないですか?セラピストの皆さんはどうでしょう?
認定理学療法士を取得するにはどれだけの時間とお金が必要?
2023年度から日本理学療法士協会の生涯学習制度が大きく変更になっていることを皆さんご存知でしょうか?この変更によって認定理学療法士を取得し、保有継続することはすっごくハードルが上がりました。
すっごくコスパ・タイパが悪くなったと感じています…
認定理学療法士を新規取得するための時間・お金は結果を言うとこんな感じ。
時間⇢認定取得まで、最短でも協会入会から6年は必要
お金⇢新規取得だと12万円強※は必要
※例として東京都士会員の場合、日本PT協会+東京PT協会で年会費が2万円必要です。
(年間2万円×5年分)+認定取得のための指定研修に1.3万円+認定試験費が1分野×1万円必要になるから
2階建て制度に変更になったため、1階に当たる登録理学療法士資格を保有していなければ認定理学療法士資格を取得し、保有していくことができません。
登録理学療法士資格を取得するまでにもそれなりのハードルがあります。
こんな感じで1階部分の登録理学療法士の資格を取得するには、3つのハードルが待ち構えていることになります。
1.最短でも5年かかる
2.新卒就職する職場によっては前期研修の「実地研修」でつまずく可能性かある
3.登録理学療法士取得では資格手当はもらえない可能性が高い
前期+後期の研修時間数自体は合計で157時間ほどですが、前期、後期それぞれで最短履修期間が決まっているために早めに研修履修を終えたとしてもジッと待っておくしかないという仕様です。
前期研修で行われる実地研修は、就職先に登録理学療法士がいてくれればD-1・イの扱いになるそうです。これだと就職先で就業時間中にプログラムを受講することができるようですね。PT協会作成のガイドラインでは就業時間中にプログラムを実施することが推奨されていますから。
問題は就職先に登録理学療法士がいない場合、D‐2になったひと。
・就職先以外の施設に研修に行く
・ラーニングを受講する
など、就業時間以外を費やして研修参加していく必要があります。
大きい病院やそれなりの規模のクリニックが就職先であれば登録理学療法士が在籍しているでしょうが、理学療法士協会に加入しないPTも増えてきているため街場のクリニックのように規模の小さいところが就職先だと大変さを感じるかもしれません。
そして前期・後期研修は基本的に”新人教育の一環”として行われるものなので、今後は
臨床5年目までは新人の仲間だよね〜
と転職する際に扱われ兼ねないんじゃないかと思っています。
実際に求人案内などを確認しても、認定や専門理学療法士資格で手当が出るところはいくつもありますが、「登録理学療法士資格に資格手当をだす」という記載は1件も見かけませんでした。
認定理学療法士資格取得への道のり
理学療法士協会に入会する人は多くが新卒と同時に加入すると考えると、登録理学療法士取得が見えてくる頃には30歳手前。
これくらいの年齢の頃は、転職・結婚・出産と多くのセラピストが、ライフプランが大きく変わりやすい時期でもあるはず。そして登録理学療法士資格を持つ=前期研修の実地研修運用を勤務先で任される可能性が高くなるということ。
月収は増えないのに業務負担が増えるのは…、単純につらくないですか…?
登録理学療法士はあくまで通過点。認定理学療法士資格を得るにはまだやることがあります。
上記のカリキュラムを終えたあとに、年に1度開催される認定理学療法士試験に合格して晴れて資格保有者になれます。
ここでちょっと注意が必要なのは
臨床認定カリキュラムを認定の新規申請をする前年度までに受講が完了していることが必須要件なこと。
登録理学療法士になった直後から臨床認定カリキュラムを進めないと最短6年での取得は難しくなりそうです。
僕は2022年より以前に認定理学療法士資格を取得しており、新生涯学習制度になって認定資格取得のハードルが上がったことは聞いていてもあんまり詳しく内容を知りませんでした。
調べる度に、「数年後には認定理学療法士が半減するんじゃないだろうか…」と思ってしまう。
認定理学療法士を取得すると資格手当はどれくらい増える?
ここまで6年以上時間とお金を費やして取得した認定理学療法士資格。
これで月給が増えるよ!ひゃっほーい!!
…とはならないんですね〜
僕はこれまで、病院、訪問リハ、訪問看護リハで勤務経験がありますがそれぞれ資格手当の金額が違っていました。
病院⇢月1,500円 訪問リハ⇢なし 訪問看護リハ⇢月3,000円
といった感じでした。
転職サイトなどを見てみると、場所によっては月1万円の資格手当がつくこともあるようですね。勤務先に認定資格を持っているセラピストがいる場合はコッソリ聞いてみるのも手かも知れません…
もし月5,000円の資格手当がつくとして、年間6万円の年収増の可能性があると言うこと。
認定資格保有継続するには研修会参加と5年毎の更新や学会発表が必要です。年間6万円の収入増だけでは、協会に支払う年会費とPT協会に支払う研修会費用のほうが高くなる年もあるはずです。
PT協会の研修会費用はピンキリですが、参加1回が3,000円くらいのものもあれば1万円を超えるものもあります。やはり安い研修会ほど定員に達しやすいので、頻繁にPT協会のマイページにログインしておけばペイできるかも知れないけども。たまに無料!とか1000円!とかで行ってる研修会もありますよ。
正直なところ、資格手当での年収増加を狙うなら「3学会合同 呼吸療法認定士」の方がコスパ・タイパの面ではオススメかも
認定資格は勤続するよりも、転職するときに年収アップを見込めるツールになった気がしています。「認定もってるんですね〜!」で引きが良かったようで、これまでの経験では面接まで至ったところは全て内定がもらえています。
病院⇢訪問領域なので全て認定資格取得の影響とは言えないでしょうが、病院時代よりも年収が100万円以上UPしています。
認定資格の保持にはもっと時間もお金もかかる
認定資格を新規で取得するにはこれだけ時間とお金がかかるとお伝えしました。
時間⇢認定取得まで、最短でも協会入会から6年は必要
お金⇢新規取得だと12万円強は必要
では、継続して認定資格を保有し続けるのにはどれくらいの時間とお金が必要なのでしょうか?
認定理学療法士を更新するには以下の要件を満たすことが必要です。
引用元:日本理学療法士協会 認定・専門理学療法士更新申請マニュアル
認定理学療法士は5年毎の更新制のため、取得期間の最終年度に更新申請を行わないといけません。
しかも、1階部分に当たる登録理学療法士資格を失効すると申請そのものができないようになっています。
そのため、下記を全て満たす必要があります。
1.登録理学療法士更新に必要な研修参加ポイント、50ポイント以上
2.認定理学療法士更新に必要な活動点数、100点以上
3.学会発表か学術誌への投稿を1回は必須で行う
4.更新時研修を受講する
登録や認定のポイントや点数は、だいたい研修時間1時間(休憩時間除く)で1ポイントや1点となっているようでした。時間に換算すると最低150時間分≒150点分の研修や求められている活動への参加が必要ということですね。
学会発表の準備にかかる時間は人によって差があるでしょうが、勤務しながらと考えると2、3ヶ月はほしいかなと…。そしてその研修や活動にはPT協会にお金を払って参加しないといけません。
認定更新のセミナー情報をザッと確認してみると1点あたり500円〜1000円程度で設定されているようでした。
平均値である750円で計算すると、150点×750円=11.25万円。
これで条件1・2を満たせます。
その後、学会発表の筆頭演者を1回行って、更新時研修を受けると次の5年間資格の維持ができます。
更新時研修は1万円かかります。これにPT協会費年間が2万円×5年分なので、全部の合計で22.25万円が認定更新のたびにかかるお金と言えるでしょう。
というわけで、認定資格の保有に必要となる時間とお金はこちら。
時間⇢研修150時間分+演題発表準備期間の2、3ヶ月+演題発表をする学会参加時間
お金⇢22.25万円+研修会参加や演題発表会場に行くまでの交通費
まめたろうが認定理学療法士を、もし非保有だったらこれから取りたいとおもうか?
結論から言うと、とりたいとは思いません
理由はこちらの3点。
1.これまで勤務していたところは「認定資格手当<資格保有継続に係るお金」だから
2.認定資格非保有でも、臨床の理学療法士としての働き方に変化があるわけではないから
3.転職に有効性がある資格は他にもあるから
まめたろうが認定資格を取ろうと思った理由は、「医療広告ガイドラインを目指す」という話が当時上がって来ていたからです。
認定理学療法士資格を持っている人がいる!と医療広告が打てるように本当になるなら、勤続でも転職市場でも大きなアドバンテージが取れるから取っておこうと、それだけでした。
その話も2024年時点では「目指すことを一義としない」と明確に更新申請マニュアルに書かれてしまってますが…
当時そう言われてしまったら僕としては新規で認定資格を取ろうとは思えなかったでしょうね。認定資格を取らなくても、日本理学療法士教会員でなくても、研鑽をつみ続ける人は自然とするよねっていうのが僕の基本の考えであるというのもあるんですけども。
これから認定理学療法士資格を目指す人は、講師やSNS運用など「認定理学療法士を自身の権威性を増すツールとする」ことを前提にして収入を得られる仕組みを作るようにするのがいいのではないでしょうか?
普通に臨床の理学療法士を続けるだけであれば、認定資格保有することはタイパ・コスパという観点では悪くなるので(汗)
今回は認定理学療法士を、タイパ・コスパの面からオトクかどうか考えてみました。
僕の結論としては「悪いよ!」ですね。
認定理学療法士を持ってるPTが言ったらだめかもしれないけど、しょうがない。実感なんだも〜ん!
今回の記事は以上です。ありがとうございました!